Studyplusトレンド研究所では、2024年10月から「学習時のスマホ活用、通塾に関する調査」として全国の中高生にアンケート調査を行いました。
<調査概要>
調査対象 : 全国の「Studyplus」ユーザー(現役の中高生)
回答者 : 2,294名
調査方法 : 学習管理アプリ「Studyplus」上でアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収。
調査時期 : 2024年10月22日~11月4日
高校生はデジタル教材を活用した自立指導塾に通う割合が3割超、集団指導塾の割合を上回る
まずは中高生の通塾に関する調査結果からご紹介します。デジタルを活用した学習がどの程度広がりを見せているかを明らかにすることを狙いとして調査しました。
本調査に協力した中高生、全体の約6割が通塾中でした。
中学3年生が76.0%と最多の通塾率となっていますが、高校1年生になると37.5%まで数値が下がります。高校受験終了のタイミングで、通塾を一度辞めていることが予想されます。
その後、高校2年生で半数超、高校3年生で6割超と、大学受験が近づくにつれて通塾を再開する傾向が見られる数字となっております。
続いて通塾形態に着目しました。
中学生は「集団指導塾」、高校生は「個別指導塾」が最多の形態でした。
「集団指導塾」の通塾率は中学生は半数を超えておりますが、高校生になると31.7%まで下がります。対照的に「映像授業やITコンテンツを使った自立指導塾」に通う高校生は35.2%となっており、「集団指導塾」に通う割合を上回りました。
一方で中学生の「映像授業やITコンテンツを使った自立指導塾」に通う割合は6.3%となっております。デジタル教材を中心とした学習塾に通う割合は、高校生になると大きく上昇することがわかります。
通塾先でのデジタル教材活用率についても、中学生と高校生とで10%以上の違いが出ておりました。
通塾していない層では個別指導塾の需要が高まる傾向、オンライン塾への一定の需要も
現在は通塾していないものの、通塾経験がある中高生が過去に通っていた塾形態は次の通りです。
中高生ともに集団指導塾が最多となっております。
学習塾を辞めた理由は「受験が終わったから」が最多でした。
中学受験終了後、高校受験終了後の離脱が最も大きな理由となっていることが分かります。
続いて、通塾経験がない中高生が塾に行かない理由は以下の通りです。
「自主学習で十分だから」「通う必要を特に感じないから」「自分の学習ペースを崩したくないから」「経済的に通うのが難しいから」といった理由が上位に並びました。
デジタル普及の影響を検証する「映像授業などのデジタル教材を活用した自習・家庭学習で十分だから」の選択肢にチェックを付けた中高生は、中学生で19.2%・高校生で15.6%でした。
通ってみたい形態としては、「個別指導塾」が最多で全体の7割程度。また通塾経験がない層からは、「オンライン塾」の需要も一定見られました。
半数近くが勉強でSNSを利用、利用するSNS1位「LINE」2位「Instagram」
ここからは学習時のデジタル活用実態についての調査結果をご紹介します。まずは勉強時のSNS活用についてです。
全体の半数近くが、勉強する際にSNSを利用する傾向が見られました。
高校1年生の割合が特に高い結果となっております。
利用するSNSの種類としては、最多がLINE・2番手がInstagram。
それ以降では、Xは高校生、TikTokは中学生が活用している傾向が特徴的です。
SNSを実際にどのように活用しているかについては、「勉強方法や勉強に関わる情報収集」「モチベーションを維持するための勉強記録」が多くの回答を集めました。
情報収集・記録以外では「友だちとの勉強通話」「タイムラプス撮影」「勉強風景のライブ配信」といった特徴的なSNS機能を活用したものであり、中学生で活用されている傾向が見えました。
高3生の8割以上が勉強する際にYouTubeを視聴、一番人気は「とある男が授業してみた」
続いては、YouTubeの勉強利用についてです。
前の設問のSNS利用より多く、YouTubeは中高生全体の7割以上が活用していることが分かりました。
特に高校生の活用率が高く、受験学年である高校3年生は8割以上がYouTubeを勉強で利用しているようです。
実際に見ている動画コンテンツとしては、「授業動画」でした。中学生より高校生の方が視聴率が高いのは、高校受験より大学受験向けの方が授業系の動画コンテンツが充実しているということかもしれません。
中学生では「勉強のモチベーション動画」の割合が高い傾向も見られました。
勉強利用の際の、お気に入りのYouTubeチャンネルについて自由記述で聞きました。
「とある男が授業してみた」が最多であり、「Stardy - 河野玄斗の紙授業」「映像授業Try IT」といった授業動画のチャンネルが多くの回答を集めております。
高校生の半数以上が進路に関する情報収集でYouTubeを利用
今度は、進路情報を収集する際のYouTube利用についての調査結果です。
中高生で顕著に結果が割れました。中学生の利用は20%台・30%台ですが、高校生は半数以上が進路情報を収集する際にYouTubeを利用しているという結果です。
実際に見ているチャンネルは「受験・進路情報動画」が最多で、高校生は半数以上が視聴していることがわかります。
「学校の公式動画」も2割以上が視聴していることもわかりました。
印象に残っている動画について尋ねたところ、キャンパス・校内の様子がわかる動画や、在校生・教授のインタビュー動画などの回答が目立ちました。
勉強に集中するために7割がスマホ活用を工夫
勉強でSNSやYouTubeが多く利用されていることが分かった一方で、勉強を妨げてしまうという意見が多い、スマートフォンの利用に関する工夫についても聞きました。
7割がスマートフォンの利用に関して何かしら工夫をしているようです。
最も多かったのは「タイマー・ストップウォッチの利用」、その後は「スクリーンタイム(時間制限)の設定」「スマホ制限アプリの利用」と続きました。スマホに備わっている機能や、集中するためのアプリをダウンロードするなどの工夫が上位です。
「電源をOFFにする」「両親に預ける」といったスマホ外での物理的な工夫も一定の回答が見られました。
Studyplusトレンド研究所 調査所感
GIGAスクール構想の推進等により、学校で学習用端末を活用することが当たり前になっている中で、今回の調査では学校外の塾や日常的な勉強時のデジタル活用実態を明らかにすることを狙いとしました。
調査の結果、特に高校生はデジタル教材を中心とした自立指導塾に通う割合が多く、日常的な勉強や進路収集時には多くがYouTubeを活用している実態を改めて把握することができました。
また勉強にデジタルを積極的に取り入れる中高生は多い一方で、スマートフォンの利用を工夫する割合も高いことがわかります。
今後もスマートフォンの機能や教材コンテンツ等の進化に伴って、デジタルを活用した勉強は進化することが予想されますが、電子機器は使い方によって勉強の妨げにもなりかねません。付き合い方や活用方法を、うまく見つけていく必要がありそうです。
本調査の回答者属性
最後に、本調査に協力いただいた中高生の属性をご紹介します。
Studyplusトレンド研究所では、学習管理アプリ「Studyplus」のユーザーである若者に向けて、定期的に調査を行っています。
企業・教育機関などで、若者を対象とした共同調査や研究をご希望する方は、問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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