Studyplusトレンド研究所では、2024年7月に「SNSに関する調査」として全国の高校生にアンケートを行い、SNSの利用状況や実態を調査しました。
<調査概要>
調査対象 : 全国の「Studyplus」ユーザー(現役の高校1年生~高校3年生)
回答者 : 1,401名
調査方法 : 学習管理アプリ「Studyplus」上でアンケート回答を依頼し、オンラインで回答を回収。一部、回答者に向けてオンラインでのインタビュー調査を実施。
調査時期 : 2024年7月22日~7月26日
X・TikTokは「投稿しない」約3割、一方Instagramは「投稿する」が4割以上
はじめに、主要SNS4種の利用頻度について、「閲覧・情報収集」と「投稿」に分けて聞いてみました(LINEは媒体特性上、「利用頻度」全般として調査)。
LINEの利用頻度は1日6回以上が、約6割に。
X・Instagram・TikTokに関しても、「閲覧・情報」収集目的での利用は1日6回以上の頻度で使っている人の割合が高くなりました。
「投稿」の利用頻度については、X・TikTokについては「使っていない」と回答した人が3割近くで一番多い結果となった一方で、Instagramについては「月に1〜2回程度の頻度で使う」と回答した人が多い結果となりました。Instagramは他のSNSと比較して、「投稿」が活発に行われているようです。
ただし、いずれのSNSについても「閲覧・情報収集」について週6回以上の頻度で使っていることを踏まえると、高校生によるSNSの主な使い方は「投稿」よりも「閲覧・情報収集」となっていることがうかがえます。
各SNSの利用目的について、さらに深掘りして質問してみました。LINEは「家族との連絡のため」が圧倒的に多いのが特徴的で、Instagramについても「周囲の友達の近況や情報を得るため」が1位と、近しい人物とのつながりのために利用しています。一方、XやTikTokでは「自分が関心のある分野・ジャンルの情報を得るため」「流行や世間一般の情報を得るため」と、誰かとのつながりよりも情報収集をメインとした使い方をしていることがわかります。
一つ参考例として、推し活でSNSを活用している高校3年生のYさんへのインタビューをご紹介します。
推し活にはInstagramよりXの方が向いている?趣味の合う推し活友達を見つける流儀
今回の調査でインタビューに応じてくれた方から、推し活における情報収集においては、InstagramよりXの方が向いているというお話を聞くことができました。
高校3年生のYさんは、Xを推しやその行動の情報を直接的に得るためだけでなく、ライブ会場などの現場で行動を共にするオタク友達と出会うためのツールとしても使っているとのことでした。
オタク友達とは、チケットやグッズを手にいれる際に協力する、イベントの前後に食事やお茶をする、推しの生誕を祝う、それらの行動の度に一緒に写真を撮る相手になります。なので、推し活のやり方やこだわりが近いだけでなく、一緒に写真に写りたいか、ファッションの好みが近いか、飲食や移動の際のお金の使い方が理解し合えるかなど、外見・性格・行動の部分も重視するそうです。
それらを踏まえて、オタク友達と知り合う為に、Xのアカウント運用にも工夫がされています。よくある行動としては
プロフィールサイトのリンクをアカウントに貼って、どんな人か分かってもらう
自分のプロフィールが最低限わかるようなポストを固定しておく
敢えて年齢や生まれ年を書くこともある
自分の好みやファッションの系統などがわかるような写真をポストしておく
など、雰囲気がわかる自己紹介となる情報を見せておくことが一般的だそうです。そして、それらのポストに「いいね」などをすることでお互いの存在に気づき、DMなどのやり取りを経てイベントのタイミングで実際に会い、共に行動し、写真を撮るという一連の流れがあるということでした。
一昨年の当社調査と比較してアカウントの複数持ち率が上昇傾向に
次に、各SNSの保有アカウント数について聞きました。
唯一Instagramのみが、アカウント複数持ち(2個保有)の割合が26.1%と一番高い結果となりました。他のSNSと比べて、アカウントの使い分けをする高校生が多いのがInstagramだとわかります。
2022年4月に同様のSNS保有数について行なった調査結果と比較すると、4〜6個のアカウントを保有している人の割合がどのSNSにおいても上昇しています。また、「使っていない/そもそも登録していない」割合もどのSNSにおいても減少しており、高校生のSNS利用とアカウントの複数持ちが、直近2年でより浸透してきたことがうかがえます。
複数アカウントを持っている場合、どのSNSでも変わらず、メインで使うアカウント(いわゆる「本アカウント」)と、推しや趣味・勉強・情報収集など用途やジャンルを限定したアカウントと使い分けているようです。
9割の高校生がInstagramで“鍵垢”持ち、半数以上は“鍵垢”のみを運用
続いて、各SNSの鍵(非公開)アカウントの保持状況についてです。それぞれの総アカウント数、鍵アカウント数をカウントして表にしました。
上記鍵アカウントを保持しているか、保持していないかでクロス集計を行うと、以下の通りとなります。
X・TikTokは約7割、Instagramは約9割が鍵アカウントを持っているという結果となりました。
鍵アカウント、公開アカウントの使い分け方がわかるように、改めて粒度を上げたクロス集計を行ったところ、以下の通りとなりました。
全てが鍵アカウントの割合は、Xは3割程度ですが、Instagram・TikTokは半数以上となりました。逆に全てが公開アカウントの割合はX・TikTokが3割程度、Instagramは1割程度です。
またInstagramでは「鍵アカウント1つ+公開アカウント1つ」「鍵アカウント2つ以上+公開アカウント1つ」の割合が24%と高くなっており、一つの公開アカウントと鍵アカウントを組み合わせる傾向が見られました。
一番よく使うSNSは4割が「LINE」、TikTokは4.2%
次に、普段よく使うSNSについて聞いてみました。
LINEが39.8%と1位、次いでInstagram、Xと続きます。若年層に人気のイメージのTikTokは4.2%に留まりました。
続いて、利用時間で見ると、X、Instagram、TikTokは1〜2時間程度なのに対し、LINEは1時間未満となりました。利用頻度が高いにも関わらず、時間が短い点は、LINEの主な利用目的が「家族との連絡」であったことも影響していそうです。
新興SNS「BeReal.」を楽しんでいる高校生が約3割
次に、近年新しく誕生したSNS「Threads」と「BeReal.」について聞いてみました。
Threadsを使っていると答えたのはわずか5.3%。他のSNSですでに十分であり、新たに使う必要性を感じていない人が多いようです。
Threadsと異なり、3割近くの高校生が使っていると回答しました。通知をきっかけに使う仕組みであり、時間制限もあることから、他のSNSと比べてアプリの利用に長時間割かなくていいというメリットを感じている人がいる一方で、いつ来るかわからない通知に囚われてしまうというデメリットを感じる人もいて、BeReal.の大きな特徴である通知に対するスタンスが二極化した意見が特徴的です。
ここではBe Real.を楽しんでいるという高校3年生のHさんのインタビューをご紹介します。
Instagram投稿の下書き、元ネタとしてのBeReal.
Hさんは現在、Be Real.にハマっているそうです。BeReal.の「通知が来て写真を撮ること、リアルタイムでみんなが今何してるのか分かる」という体験自体を楽しんでいます。自撮りすることに対して、最初は抵抗があったものの慣れてきたそうです。
また、「帰りに一人でアイスを買った」などといった、インスタのストーリーにあげるほどではないと思ったことを、BeReal.に撮って上げるということがあるそうです。最近はBeReal.の投稿を写真保存して、Instagramのサブアカ(複数アカウントを持っている中で、メインで使用するアカウントとは別で、お互いに認識のある相手だけに公開しているレベルのアカウント)にまとめるということもしており、サブアカの投稿欄はBeReal.の寄せ集めのような形になっているそうです。
進路選択には、インフルエンサー等個人の発信より大学公式の発信を受け取る
最後に、企業や大学などの公式LINEのお知らせなどについて聞いてみました。
興味があったり、スタンプやクーポンなどのメリットが受けられる場合には友達追加をするという回答に。通知のON/OFFに関わらず「内容を見ている」と答えたのは36.0%、「内容をほぼ見ていない」か「ブロックしている」と答えたのも36.0%と、友達追加後のお知らせに関しては、見る・見ないがちょうど半数ずつとなりました。
進路に関する情報は、Web検索に次いで「紙の資料」が2位につけており、デジタルで収集できる情報と合わせて紙媒体での情報収集も並行して行っているようです。また、3位には「YouTube」が上がってきており、大学や教育について発信するYouTuberの動画なども進路選択に欠かせない情報となりつつあることがわかります。
進路選択に関する情報収集についてSNSに限って見てみると、インフルエンサーや学生個人のアカウントよりも、大学公式アカウントを見ている人がほとんどで、公式の発信も重要視していることがわかりました。
Studyplusトレンド研究所 調査所感
今回の調査では、LINE・X・Instagram・TikTokをメインに調査を行いましたが、Instagramの使われ方が特徴的でした。Instagramでは複数のアカウントを持っている傾向があり、閲覧も投稿も活発に行われており、周囲との交流にも推し活などの情報収集にも役立てられているSNSということがわかりました。とはいえ、Instagramでのコミュニケーションがすべてではなく、連絡などのやりとりにはLINEもメインで使われていました。
今回の調査を通して、若年層は「LINEを使わない」「Instagramでよく連絡を取り合っている」「TikTokの投稿をよくしている」といった先行したイメージにとらわれてしまうと、「リアルな高校生像」を見失ってしまう可能性があることに気づかされます。
Studyplusトレンド研究所は、今後も「Studyplus」を通じて中高生の”リアルな声”に耳を傾け、世の中に広く発表していきたいと思います。
本調査の回答者属性
最後に、本調査に協力いただいた高校生の属性をご紹介します。
Studyplusトレンド研究所では、学習管理アプリ「Studyplus」のユーザーである若者に向けて、定期的に調査を行っています。
企業・教育機関などで、若者を対象とした共同調査や研究をご希望する方は、問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。