Studyplusトレンド研究所が以前実施した、中高生向けの「通学とスマートフォン・SNS利用に関するアンケート」において、「通学中、スマホで何をしていますか」の設問への回答1位は、「勉強する」という結果でした。
昨今ではスマホで勉強することを”スマ勉”と呼ぶことも多く、今どきの学生たちにとって、勉強でスマホを活用することは当たり前になっているようです。
受験期においても、きっと多くの受験生たちがスマホを活用して勉強を頑張っているはずです。
そこでStudyplusトレンド研究所では、「大学受験期のスマホを活用した学習に関するアンケート」を実施しました。
対象はすでに受験を終えている現役大学生として、受験期にどのようにスマホを活用していたか、またどれくらいの時間スマホに接触していたのかなど、その利用実態を聞きました。
今回の記事では、コロナ前に受験期を迎えた学生と、コロナ禍で受験期を迎えた学生とに分けて、アンケート結果の分析を行っています。
コロナ禍で学生のスマホ接触時間が増えたという調査データを各種機関が発表していることも踏まえて、新型コロナウイルス感染症の蔓延がもたらした、受験生のスマホ利用に関する変化について探っていきました。
<調査概要>
調査対象 : 全国の「Studyplus」ユーザー(現役大学生)
回答者 : 1,780名
調査方法 : インターネット調査
調査時期 : 2022年5月27日〜6月3日
<言葉の定義について>
「大学受験期」は、受験勉強が本格化する”高校3年生の夏頃~卒業”の期間として定義しました。
「”コロナ前”の受験生」は、2020年3月以前に受験期を迎えた学生を指します。今回の調査では、1,780人の大学生のうち570人が「”コロナ前”の受験生」だったと回答しました。
「”コロナ禍”の受験生」は、2020年4月~2022年3月に受験期を迎えた学生を指します。今回の調査では、1,780人の大学生のうち1,210人が「”コロナ禍”の受験生」だったと回答しました。
コロナ前・コロナ禍での大学受験期におけるスマホ利用に関する変化
まずは、受験期におけるスマホの利用時間についての回答です。
”コロナ前”と”コロナ禍”を比較すると、「3~4時間」「5~6時間」「7時間以上」と答えた割合が”コロナ禍”で増えていることがわかりました。
逆に、「30分以下」「1~2時間」と答えた割合は減っています。
コロナ禍で受験生のスマホ利用時間が伸張していることがわかりました。
利用時間がコロナ禍で伸びた一方で、利用制限に関する考え方にも、変化は生じているのでしょうか。
後輩へアドバイスする場面を思い浮かべてもらった上で、制限すべきどうかの意見を聞きました。
わずかではあります、”コロナ禍”の受験生の方が「厳しく制限した方が良い」「少しは制限した方が良い」と回答しました。
利用時間が伸びている分、受験期にスマホを触りすぎてしまったと感じている学生も増えているのかもしれません。
コロナ前・コロナ禍での大学受験期における”スマ勉”に関する変化
続いてスマホ利用の中でも、今回のテーマである「学習面」にフォーカスしていきます。
最初に勉強のツールとしての利用状況についてです。
受験期に勉強でスマホを活用していた、”スマ勉”していた割合は”コロナ禍”で97.2%にのぼりました。
”コロナ前”も86.5%と高い数値になっていますが、さらに数字が伸びていることがわかります。
”スマ勉”は、受験生にとって年々当たり前の勉強方法になってきているようです。
では、具体的にどのような"スマ勉"をしていたのでしょうか。
昨今で増加しているEdTechサービスや、SNSを活用した勉強方法を洗い出し、選択式でヒアリングしました。
コロナ前からコロナ禍にかけて、スマホを活用した多くの勉強方法は、利用率が上昇していました。
特に顕著なのは、「映像授業の閲覧」と「SNSを活用した勉強、情報交換」です。
「映像授業の閲覧」は20.4%、「SNSを活用した勉強、情報交換」は16.5%、利用率があがっていました。
スマホで使える学習教材はもちろん、普段使いしているYouTubeやTwitterなどを活用した勉強も、ますます浸透しているようです。
コロナ前・コロナ禍での大学受験期における”電子参考書(電子教材)利用”に関する変化
続いて、”スマ勉”の中でも、電子参考書に関する質問です。
最近では、スマホで閲覧できる電子参考書、電子教材も増えておりますが、受験生たちの利用状況はどうなのでしょうか。
結果として、”スマ勉”率の向上に比例する形で、スマホでの電子参考書・電子教材の閲覧率も増加していることがわかりました。
使用していたと回答したユーザーに具体的な活用方法を任意で記入いただいたところ、以下のような回答を得ました。
「電車や車での移動中など、紙の参考書を広げることが困難な時に使用していた。」
「手にスマホしかないけどスキマ時間がある時に単語の確認などしていた」
「通学や、塾の自習室で勉強する時に荷物が重たい時などに利用していた」
「紙の参考書が重くて持ち歩きに不便だったので利用していた。」
「通学中の電車内などスキマ時間だが、紙の参考書を出すと周りの人に迷惑かなと感じる時に活用していました。」
隙間時間での効率的な勉強、カバンの重さを軽量化、という理由から利用していた学生が多いようです。
一方で、使っていない割合の方が多数派という状況でもあります。
端末導入が進み、教科書の電子化に関する取り組みも進んでいる中で、今後スマホでの電子参考書の活用率も伸びていくのか、その動向については引き続き注視していきたいと考えています。
ユーザーインタビュー
今回アンケートにご協力いただいた「Studyplus」ユーザーの中から、一部の大学生にインタビュー取材を行いました。
受験勉強でスマホを有効活用していたユーザーの声を、ご紹介します。
都留文科大学1年生・女性
・コロナ禍(2020年4月以降)の受験生
・受験期のスマホ利用時間は1~2時間、スマホで使える電子教材を活用
「英語が本当に苦手で、姉からお勧めされて『ターゲットの友』や『mikan』を使っていました。あとは日本史の一問一答が使えるということで、『ポルト』(現在の『Studyplusブック』)も使っていました。英単語も日本史も毎日やらないと覚えられないので、通学時間や休み時間のような隙間時間に開くようにして、勉強していましたね。
学校にロッカーがなくて、毎日教科書を持ち帰らないといけなかったので、カバンがすごく重かったんです。身体にも負担がかかるので、通学中にスマホで参考書を開けるのは本当にありがたかったです。家の中で使っているときは、「何スマホいじってるの?」と家族に言われることもありました(笑)。」
横浜国立大学1年生・男性
・コロナ禍(2020年4月以降)の受験生
・受験期のスマホ利用時間は3~4時間、スマホで使える電子教材を活用
「電車通学時や机に向かうのに疲れてしまった時にスマホで勉強していました。紙のプリントの内容をスマホで勉強するために『イルカの暗記シート』というアプリを使ったり、英文に慣れるために『The Japan Times』も見たりしていました。共通テスト対策前は、『ポルト』(現在の『Studyplusブック』)で移動時間に勉強することも多かったです。教科書だけでも通学カバンがいっぱいになるので、参考書も持ち運ぶとなるとかなり重くなります。付箋とかマーカーのような補助機能がある教材アプリは、勉強したいところに一気にジャンプすることができるので、とても使い勝手が良かったです。」
Studyplusトレンド研究所では、学習管理アプリ「Studyplus」のユーザーである若者に向けて、定期的に調査を行っています。
企業・教育機関などで、若者を対象とした共同調査や研究をご希望する方は、問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
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